出典:日医工
日医工が潰れると言われる理由
①法令違反があった
品質試験で不適合となった錠剤を砕いて再び加工したり、出荷前の一部の試験を行わない、別のロットで再試験するなど国が承認した工程とは異なる製造を10年以上行っていたとし32日間業務停止になっている。
現場での欠品を避けるため法令遵守の意識が不足していたと釈明していた。
②元社長がワンマン経営である
田村友一元社長は同業を次々と買収して規模を拡大してきた。
米国市場にも進出するなど「ジェネリック世界トップ10」をビジョンに掲げていた。一部ではワンマン経営と囁かれていた。
達成するための経過に問題はあったが、ビジネスを行うには多かれ少なかれ上を目指していく必要があるため考え方としては共感できる。
現在はスイス製薬大手の日本法人で社長を務めていた岩本紳吾社長である。
③上場廃止になった
2023年3月29日をもって株式 会社東京証券取引所プライム市場において上場廃止となり、上場最終日35円で取引を終えた。
上場廃止でブランドイメージが下がる、売上に影響するなどのデメリットもある。
しかし、株主の意識に左右されることなく自由に経営できることやコスト削減、業務効率化いうメリットもある。
現在は企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と医療品卸のメディパルホールディングスの(HD)の傘下に入っている。
④赤字経営である
品質問題などのため製品を自主回収したり、221品目の製品販売を中止している。
理由としては販売されて中止は採算がとれない、原薬の調達が難しいため継続的に生産することが難しい、グループ会社の中で薬の成分が似ている品目があり統一化を図るためとされている。
2023年3月期の決算では売上高1368億900万円、営業損失276億9500万円、純損失426億7900万円であった。
⑤事業再生ADR(裁判以外の紛争解決手続き)の申請が行われた
債務整理のひとつであり、申請したということは経営状態が良好ではないと推測できる。
現在は取り引き銀行の支援も得ながら 2026年3月期の黒字化と債務超過解消を目指している。
事業再生計画の当初の予定より厳しい状況ではあるようだが販売中止品の見直しをしたり、完全子会社の売却を行うなどの経営合理化を図り経営再建に奮闘している。
⑥現場状況と経営方針のバランスが崩れている
元社長はシェアを持つことで市場優位性が増すと語っていたり、売上高のこだわりが強かったようだ。
シェアを拡大するために他社よりも安く販売する薄利多売戦略を行っていた。
その戦略が現場とのバランスがとれていなかったと言える。
自身も自社の成長スピードに対応できていなかったと語っており、短期間で急激な拡大を行ってきたことも相まって法令違反に繋がったのだ。
⑦信頼性が損なわれる
日医工だけではなくメーカーの品質不正が連続して発覚している。
ジェネリック薬品自体の積み上げてきた信頼ががた落ちし、イメージダウンは避けられず、薬を使用する不安感を拭えない状況になっている。
まとめ
政府は膨らみ続ける医療費を抑えるためにジェネリック医薬品と呼ばれる後発医薬品の使用を後押ししてきた。
連続する不正などにより信頼はがた落ちしたと言える。
違う薬の混入などは言い訳のしようもないが、国の承認した工程以外での製造は現場でいい薬を作ろうという努力から生じた、現薬や機械の調子がいつも同じとは限らないなど柔軟性を認めて欲しいという現場の声もあるようだ。
不正が多発したことがもしいい薬を作るためだというならば法改正を行っていく必要がある。
誰もが安心して薬を使用できるよう今後の企業努力に期待したい。