クレディスイスが潰れるに至った7の理由と口コミ

クレディスイス

出典:クレディスイス

クレディスイスとは厳格な口座管理で知られるスイスの伝統ある富裕層向けのプライベートバンクの一つで、世界で展開しユニバーサル・バンク(銀行業と共に証券業も一緒に行う銀行経営)の代表格であり本来は堅実経営の大銀行のはずであった。

スイスと言えば銀行の国というイメージで世界で最も安心できる近郊のではなかっただろうか。

しかしここに来てクレディスイスには潰れるという噂が立ち、とうとう同じスイスの金融最大手「UBS」による買収という形で救済されることとなった。

しかしこの買収によって金融関係者に大きな衝撃が走った。

まずはこの買収に至った背景というものは何なのであったのか詳しく見ていこう。

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クレディスイスが潰れるに至った理由①「マネーロンダリング疑惑」

クレディ・スイスは、ブルガリアの麻薬組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)を阻止できなかったとして有罪が言い渡されたという件があった。この刑事犯罪有での有罪判決が銀行に言い渡されたのは同国史上で初めてのケースである。

スイス連邦刑事裁判所は22年の6月27日に、クレディスイスと同行の元リレーションシップマネジャーに対して有罪の判決を下した。

この罪状としては『コカイン密売で得た資金のマネーロンダリングを防ぐ「責任ある義務化」された組織的措置をクレディスイスが怠った』としてクレディスイスには200万スイス・フラン(約2億8000万円)の罰金請求と同行がマネーロンダリングを容認したといわれる規模と同等額の1900万フランの支払いも命じたと報道されている。

この有罪判決にクレディスイスは上告をして戦う姿勢を見せているが、一度判決を下されたことで信頼に揺らぎが入ったことは言うまでも無い。また、この時に元リレーションシップマネジャーには20箇月の執行猶予付きの禁固刑と重い判決が下されている。

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クレディスイスが潰れるに至った理由②「モザンビーク責問題」

モザンビークの国営企業3社は2013年、2014年とクレディスイスと造船会社プリビンベストと約20億ドルの融資契約を結んだ。

これは州立マグロ漁業などの漁業の発展と海洋安全保障の強化を図るモザンビークのプロジェクトとして始まったものでと呼ばれていた。

しかし、2016年に非公開だった国家融資保証の存在が公になり数億ドルが行方不明となっている「隠れ債務」の存在が明らかになりモザンビークは国際通貨基金を含む寄付国が支援を停止し、債務不履行となり一時債務危機を引き起こし融資停止になった。

この背景にクレディスイスとプリビンベスト、モザンビークの役人が汚職事件を起したというものだ。

モザンビークは自国が陰謀の被害者であり、プリビンベストが腐敗した役人やクレディスイスの銀行家に1億3,600万ドル以上の賄賂を支払ったと主張している。

クレディスイスはこの件で、贈収賄と詐欺容疑の解決に向けて英米当局に約4億7500万ドルを支払い、モザンビーク債務2億ドルを免除することを約束している。

その後、負の遺産となったこの「マグロ債」はUBS銀行にかわり、23年の10月に裁判外の和解を成立させた。

この汚職事件「マグロ債」は10年間も解決の付かなかったためこの問題が大きくクレディスイスを揺るがしたという事である。

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クレディスイスが潰れるに至った理由③「企業スパイ事件と内偵による自殺者」

クレディスイスが私立探偵を雇い、ライバル行UBSに移る社員を尾行させたとスパイ疑惑が浮上した。

この他にも国外の元銀行員や第三者に対するスパイ活動も横行していた。

またクレディスイスの取締役が同銀行の雇った探偵に尾行されるなど、FINMA(スイス金融市場調査局)によると、7件の「内偵」行為も発覚し非公式かつ妥当な理由なく実施したとされ企業統治に重大な欠陥を発見したと指摘されている。

19年のスパイ事件は最終的に当時のティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の辞任につながった。

これは当時ライバル銀行であったUBSに移るウェルスマネジメント部門の元責任者イクバル・カーン氏を私立探偵を使ってクレディスイスの顧客をUBSに誘導しないか監視し尾行していた事件である。

クレディスイスに代わって私立探偵を雇っていた請負業者の男性が自殺していたという事件も発覚した。

このことから内部に関する情報統制や統治に不安を覚える要素となり、不安を煽る原因の一つにもなっている。

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クレディスイスが潰れるに至った理由④「巨大損失」

経営破綻した英金融サービス会社グリーンシル・キャピタルへの関与で約100億ドルを償還と、富裕層の個人資産を運用する米国の「ファミリーオフィス」、アルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用破綻で約50億ドル(約5464億円)の損失と2つの大きな取引の失敗でクレディスイスは巨額の損失を出し投資家に大打撃を与えることとなった。

クレディスイスの失敗についてリスク管理の不備を指摘している。取引の弱点を特定する規制上のストレステストの手法(健全性審査)が不適切である、誤ったインセンティブを用いた報酬制度がある、トレーダーと役員との間で責任の所在が不明になっているなど、リスク管理にある様々な不備があることが指摘されている。

官僚化されたリスク管理が詳細からのリスクを確認するだけになり全体像からのリスクを把握できずにいたことに警鐘をならしている。

このことから資産にも影響を及ぼし、経営不安を引き起こす原因にもなった。

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クレディスイスが潰れるに至った理由⑤「ウルス・ローナー氏の退任・ントニオ・オルタオソリオ氏の辞任」

2021年に会長であったウルス・ローナー氏が退任する事となり、アルケゴスやグリーンシルの相次ぐ巨額の損失やスパイ事件、マグロ債の件と数多くの失策が原因とみられていた。

特に取り沙汰されたのは内偵による自殺者がでたことである。

次期会長はすでにアントニオ・オルタオソリオ氏と指名されていたが、その後就任したアントニオ氏はコロナ渦に新型コロナウイルス感染予防の隔離規制違反を巡り取締役会から内部調査を受け22年の1月に辞任に追い込まれるなど不安要素が強まる結果となった。

その後、UBS出身のアクセル・レーマン取締役が即日就任となり事なきを得ているがこの時点でかなり不穏な状況が噂される状況になっていた。

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クレディスイスが潰れるに至った理由⑥「筆頭株主からの追加出資打ち切り発言」

クレディスイスの筆頭株主である中東の銀行サウジ国立銀行のCEOが「クレディスイスには追加出資しない」という発言がきかれたことで信頼性への疑念は一気高まることとなった。

更にこの時期には米金融機関であるシリコンヴァレー・バンクとシグネチャー・バンクが相次いで経営破綻するという自体があり、投資家たちは、ほかの金融機関も影響を受けるのではないかという懸念が広がることで、世界的な株価の急落に繋がっていた。

ここにきてクレディスイスから財務報告管理における「重要な弱点」がみつかったと公表があったことで経営不振の疑惑は強まり、筆頭株主の追加出資しないとの表明により、クレディスイスの債務不履行に備え他の銀行が準備を始めることとなる。このことに中央銀行と政府は慌てて重い腰を上げることになる。

スイスのアラン・ベルセ大統領は、「クレディ・スイスの制御不能な崩壊は、この国や国際金融システムに計り知れない影響を与えるだろう」と述べてクレディスイスの買収を発表。

交渉はスイス政府や中央銀行の支援があったことでUBSが買収すると言う形でまとまったとしており、中央銀行などがアジアの金融市場が開く前にはなんとかと強力に交渉を仲介した形となった。

この買収にあたりスイスの財務省は金融最大手UBSによるクレディスイスの買収においてリスクを軽減するための支援策を講じると発表した。

UBSがクレディスイスから引き継ぐ資産価値が下がり、将来の損失が一定額を超えた場合、政府がUBSに90億スイスフラン、日本円で1兆2000億円余りの政府保証を行うという破格の条件が付けられている。

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クレディスイスが潰れるに至った理由⑦「UBSによる買収で経営縮小に」

UBSに買い取られたことで存続は出来たクレディスイスではあるが、今回の件でリスク管理の甘さが指摘されクレディスイスの投資銀行業務を縮小すると宣言している。

相次ぐ不祥事にリスク管理の甘さが業績の悪化を招いたクレディスイス。

そのうえ顧客資金の流出が止まらず株価が急落するなど経営への不安が高まって世界の金融市場に動揺を招く結果になった事にUBSは「われわれの保守的なリスク管理に合わせていく」として歩調を合わせ改善を図っていくこととしている。

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日本のクレディスイスで働く人の口コミ

個人的には風通しは比較的良い会社だったと思います。チャレンジすることを推奨する風土もあり。その当たりのカルティーは良かったと思います。

外資系という事もあり、除籍のマネジメントも何人かいた。日本という特殊マーケットということもあり、日本は圧倒的に日本人が多かった。他の国は比較的多国籍だったかな。

部署にも夜が比較的成果主義
圧倒的な数字を出せば出世する。そうでないとシニアマネジメントとのリレーションが重要

結果重視なので、私の部署はリモートワークだろうが時短勤務だろうが特段制約はなかったです、副業はコンフリクトがある仕事はNGですが、それ以外は申請すればOK

凄く特色あるビジネスを展開していた。

360度評価制度を行なう。マネージングディレクターへの昇進は、関連部門のみならず、無関係でも同じ拠点の他の部署からの推奨が必須。チームワークを作れない人は昇進しない。

勤務時間は激務。早朝出勤当然。部署によっては定時に近い時間に帰れるが、正直定時に帰っているのは昇進や昇給もあまり期待できない。

グローバルで決めたことに即座に影響する。部門は突然閉鎖される。キャリアは作れない。

住宅借り上げを行なってくれるので個人の所得税負担は和らぐ。

実務について細かく、最先端のノウハウを身につけることが出来る。英語を使う機会が非常に多いので国際性のある経験を積むことが出来る。

口コミから見ると日本国内で働くことについて、ジェンダーレスであることや外資系のため国際色が見て取れる。

しかし仕事は力量とチームワークにかかり、かなりの激務であることは見て取れる。福利厚生もそれなりにしっかりしているようである。

クレディスイスは実質的には「潰れる」と行った経営破綻までは行くことはなかった。

しかし最終的にはライバル銀行であったUBS銀行に買収されることとなり、実質的にはその歴史に幕を下ろしたことになる。

UBSの子会社として新たに一歩踏み出すこととなったが、実質的に自国の銀行はUBSと合せて85の支店を閉めることになり、人員の削減も進んでいる。

また、今回の買収には国が絡んで行なったことから、2兆円以上のAT1債(株式と債券の中間の性質を持った証券のひとつ)は無価値となり、代わりにクレディスイスの株主はUBS株を等価交換でもらうということになった。

このことは弁済順位に狂いが出たことで金融関係者に衝撃が走っている。

いずれにしても、スイスの巨大銀行であったクレディスイスが潰れるという衝撃はちょっとのものではなく、世界の金融を揺らすものであったのだ。