河西工業が潰れると言われる理由と考察、これからについて。

河西工業

出典:河西工業

神奈川県に本社を置く河西工業株式会社。

潰れると言われる噂を検証してみる。

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河西工業株式会社とは?

「自動車の内装をコンセプト提案できる会社」を経営ビジョンとして掲げる自動車用内装部品メーカーの大手。主要な取引先は日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社などの自動車メーカーである。

もともと日産の資本が入っていたが、2000年代前半に日産が株式を売却。日産自動車向けが約6割、ホンダ向けが約2割の売上高を占めているとのことだ。

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自動車業界の危機

新型コロナの影響で、主要顧客である日産自動車やホンダの工場がストップし、新車販売も低迷。

部品の受注が激減したことにより、経営に大きな影響を与えた。

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早期退職の募集

2020年、2000人の従業員のうち15%を減員する300人の早期退職者の募集をかけた。株主優待制度も終了した。

その後も半導体などの部品不足で、取引先の自動車メーカーの減産が相次ぎ、ドアトリムなど車内装部品の販売が減少。赤字が続いた。

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社員の不安

退職検討理由には、

業績悪化。自動車業界の先行きも不安なため。

早期退職の実施により、経験あるベテラン社員や優秀な社員が多く抜けた

将来に不安があるため。

との声が多かった。

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日産自動車を主要取引先とする部品大手の経営破綻

取引先の自動車メーカーの生産台数で業績が左右されやすい部品メーカーにとって、生産台数の減産は経営に大きな打撃となる。

2022年、日産自動車を主要取引先とする部品大手が経営破綻した。

それにより、同じく日産自動車を主要取引先とする河西工業も倒産するのではないかとの懸念が生じた。

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4期ぶり損益黒字化

2022年、2025年3月期までに日本と米国で計3工場を閉鎖とし、中期経営計画の見直しを発表。

その後、2023年11月、2024年3月期の経常損益が15億円の黒字(前期は141億円の赤字)になりそうだと発表があった。

本業が回復し、導体不足の緩和で完成車メーカーの生産が回復しているほか、円安による為替差益が計上されることが寄与した。

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日産依存のリスク

日産自動車は、コロナ禍による生産・需要減や半導体不足による減産だけではなく、過去の過剰投資による負担で、業績の低迷が続いている。

人々の生活が元に戻ったことの反動や、歴史的な円安が追い風となって業績が上向いているものの、中国市場の低迷といった不安要素があり、完全な回復には至っていない。

河西工業は24年3月期の通期見通しは黒字を見込んではいるが、最終損益は構造改革費用の計上などにより10億円の赤字となっており、油断はならない。

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これから

自動車業界は、複数の自動車メーカーが24年3月期、販売好調や円安で過去最高益達成や通期見通しで過去最高益予想が相次いだ。コロナ禍の不振から一転して明るい兆しが見え始めている。

バッテリー電気自動車や新エネルギー自動車の開発など、市場での需要を読み違えなければこれからまだ盛り返していく可能性がある。

しかし、河西工業の主要取引先の日産自動車は、

「日産は普段から販売台数の見通しが甘く、系列サプライヤーにとっては負担となっていた。日産自身の業績悪化もあり、日産依存度が高い企業は軒並み苦戦している」(自動車メーカー関係者)

と言われることもあり、まだまだ先行きに不安が残る。

河西工業は2020~2024年の中期経営計画で、工場再編や不採算事業の撲滅などの資産効率の向上化や、得意とする自動車分野に経営資源を集中させることを打ち出している。

そして、自動車内装の部品の企画・開発から生産まで一貫して手掛ける技術と、北米のみならずアジア諸国でのネットワークを生かし、日産自動車だけに頼らずとも立て直す能力を構築できるのではないかと考えている。