出典:電源開発
水力発電をはじめ、風力発電や地熱発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業を展開する「電源開発株式会社」が潰れると言われる3つの理由について考察する。
電源開発が潰れると言われる理由
①電力需要が低下したから
コロナ禍においては営業自粛や時短営業を受けて電力需要が低下したが、コロナ禍による一時的な需要低下であり、電力需要が無くなることはまずない。
そのため電力需要の低下によって電源開発が潰れることはないと断言してもよいだろう。
②電力供給が国内中心だから
電力供給が少子化の進む日本のみをターゲットとしているならば会社の存続に不安な要素となり得るが、電源開発は海外展開も積極的に行っている。
元々海外へのエンジニア派遣のコンサルティングを60年以上続けた経験やネットワークを活かして世界各国で事業活動を行っている。
海外売上高の比率は約2割と同業他社と比較して高い。
海外事業に注力することは、人口減少も進む日本に置いて企業を存続させるために重要な事業活動だと言えるだろう。
③株価が長期的に低迷しているから
株価の下落は会社の価値が下がっていることを意味する。
電源開発はインフラ事業で安定した業績を上げているため、利益は上昇している。にも関わらず株価が低迷している現状がある。
理由は主に3点ある。
- 大間原発の稼働延期
- 脱炭素化の潮流
- 石炭価格の上昇
が主な理由である。➀➁は特に電源開発が「潰れる」と言われる直接的理由でもある。
原子力発電所建設の延期をしているから
2011年3月に発生した福島第一原発事故後、原発の有無についての議論が続いている。
電源開発は青森県大間町にて大間原子力発電所を建設中である。しかし原子力規制委員会による安全審査が長引いている。
工事再開をしたものの当初の稼働予定から大幅に遅延している状態である。
さらに重大事故発生時に避難が必要となる30km圏内の函館市は大間原発の建設再開に対して提訴している。
安全審査に加えて賛同を得られておらず厳しい状態である。
しかし石炭火力依存の脱却に向けて原子力発電を成功させることが、会社の存続・成長に重要な鍵である。
石炭火力発電の構成割合が高いから
再生可能エネルギー事業に注力している電源開発であるが、石炭火力発電の割合が3割弱と水力発電と共に電源開発を支えていると言ってよい事業である。
しかし経済産業省は非効率と環境への影響を問題視し、石炭火力発電の縮小に動いている。
具体的な目標として2030年までに段階的な石炭火力発電所の休・廃止である。
電源開発が保有している長崎県「松島火力発電所」においても、2024年度末をもった1号機の廃止と2号機の休止が決定している。
今後石炭火力発電の比率を下げ、再生エネルギーに転換出来るか否かが鍵になる。
電源開発の口コミ
石炭ガス化複合発電の技術開発に注力しており、脱炭素社会に貢献できる事業をしている。
海外事業比率の高さは強みであり、順調にのびている。
風力事業は他社より先行しており、国内シェア2位で安定している。
インフラ事業なので安定的な収益を生みだせるだろう。
社風が現実的なので、利益追求に関しては他より優れている。
脱炭素の流れを受けて、設備の縮小や収益の悪化が予想される。
原発事故の影響で原発事業が厳しい。
石炭火力に依存せずに設けられる事業構造が必要。
水素事業に注力すべきだ。
発電効率の低い発電所が閉鎖するとなると業績の雲行きは怪しくなるだろう。
まとめ
理由や口コミから「脱炭素」の潮流を受けている今、石炭火力発電に依存し続けることは、電源開発の会社存続に影響が出てしまう可能性は否めない。
海外事業の継続や再生可能エネルギーの割合、原発事業の進捗次第といったところだろう。