出典:白洋舎
コロナ禍で打撃を受けた業界と言えば真っ先に思い浮かぶのが飲食と観光だ。
だが大きく取り上げられなかったものの、クリーニング業界も相当なダメージを受けた。
在宅ワークが増えたことでワイシャツのクリーニング需要が減ったためだ。クリーニング大手の白洋舎も例外ではなかった。
2020年12月期(連結)の最終利益が31億5900万円の赤字だったことから、潰れると言われるようになった。
白洋舎が潰れると言われる理由
①礼服、フォーマルウエアもクリーニング需要が減少
コロナ禍で在宅になったのは仕事だけではない。
結婚披露宴を、テレビ電話を繋いだリモート形式で行う「リモート結婚式」なるサービスも定着していた。
もしくは延期にするなど冠婚葬祭の礼服のクリーニング需要も減少した。
入学式、卒業式などの学校行事は中止が相次ぎ、フォーマルウエアも同じく減少した。
②飲食・観光業の経営不振でリネンサービスも大打撃
また白洋舎はホテルやレストランで使用するシーツ・タオル・テーブルクロス・ナプキンなどのリネンをクリーニング付きでレンタルするサービスも展開しているのだが、そのため飲食店や観光業の経営不振がそのまま白洋舎の売上減につながってしまった。
③洗濯機の機能向上
そもそもクリーニング市場はコロナ禍以前から縮小傾向にあった。
洗濯機の機能向上や洗剤の質向上により、以前はクリーニング店でしか洗えなかったものも自宅で洗えるようになったからだ。
④衣類の進化
衣類もまた進化を続けている。
以前は糊付けが必須だったワイシャツは形状記憶タイプのものが主流となり、アイロンすら不要のものまで流通している。
またメーカーによっては、手洗い表示ではあるものの学生服やスーツジャケット、スキーウエアまでもが自宅で洗濯可能となっており、タグを確認して驚かされることが多い。
⑤従業員の対応が悪い
口コミに従業員の接客態度による不満が一定数見られることも潰れると言われる理由の一つだ。
白洋舎は全国展開している大手クリーニング店なだけに店舗によって差が出てしまうのは仕方ない。
慢性的な人手不足の地方などでは専門知識のないアルバイトが対応している可能性もある。
だが、一部の店舗であってもSNSの発達した現代社会においては悪い口コミはすぐに広まる。
⑥クリーニング品がダメージを受けた
また「生地が傷んだ。」「シワが増えた」などの口コミも見られた。
白洋舎は大手のため機械仕上げがメインとなり、機械仕上げで綺麗に仕上がりにくいデザイン、素材の衣類は変な癖やシワが出来ることもあるという。
白洋舎に限らず機械仕上げの大手クリーニング店にはありがちなことだが、その点は伝えられずに「白洋舎顧客の不満」という形で口コミが広がってしまった。
⑦白洋舎の現在と今後
周知の通りコロナ禍による規制が解除されてからは、その反動で観光業・飲食業が大盛況となっている。
白洋舎のリネンサービスも調子を取り戻し、またクリーニング料金の改定を行ったことなどから見事に復活を果たし、2022年12月期の連結決算で最終損益は16億8800万円の黒字となった。
だが一度ついた「潰れる」イメージはなかなか覆せない。
白洋舎の口コミ
クリーニング「白洋舎」。奈良県内から営業所を除いた全店舗が閉店してしまうそうです。
コロナの在宅勤務はマジでクリーニング業界を根こそぎ吹き飛ばしに来たよな。飲食店以上ちゃうか?俺の近所のクリーニング屋5店くらいあったけど全部潰れたもん
マジで在宅勤務の破壊力は異常。交通費がゼロになっただけではなく、スーツのクリーニング費用も年数万円がゼロになったからな。
クリーニングなんて年一でダウンジャケット出す時にしか使わん
質はいいけど、高いからなあ
ノーアイロンシャツと洗えるスーツにしたから、クリーニングに用がなくなった。
ビジカジで良くなったからね。家で洗えてアイロン掛けなくてもシワがほとんど気にならない綿のコーデュロイパンツとコーデュロイシャツばかり履いてるわ。
貧困になりすぎてクリーニングも贅沢品なんだよな
ショップチャンネルとかで出てるハイベックもええで。あれで冬着洗ったらマジで服の色がくたびれ感があっても新品みたいなしゃきっとした色に戻る。
白洋舎に出してた様な高かった服はみんな売っちまったな
自宅での洗濯が可能になったことでクリーニング需要がなくなった、という口コミが多いのは想像通りだが、スーツを着なくていい会社も増えているようだ。
ジェンダーレス推進や多様性を認めるなど、これも時代の変化によるものか。
貧困によりクリーニングに出せないという投稿も見られたが、貧困もまた失業や精神疾患などコロナ禍が原因となっている可能性は否定できない。